ちょっとだけ国際人!
「フライブルクの街並み」
写真提供者:TAROT KUBOTA様。
(フライブルクでガイドをされています)
★ 体 験 記 ★
〜ドイツの生活をご紹介します〜
文:南 はるか4>
第1章 フライブルク
1. W G (ヴェーゲー)
ドイツの駅には改札が無い。
誰でも自由にプラットホームに入る事ができる。
私が降り立ったフライブルク中央駅のそのホームも、列車に乗降する人々と送迎の人々で混雑していた。
そんな中でもアジア人は目立つのか、長身のケラーさんはすぐに私を見つけてくれた。
小さな花束を渡してくれながら、ケラーさんが微笑む。
「Willkommen in Deutschland!」 (ドイツへようこそ!)
ケラーさんは私の大学の短期留学生で、私が卒業後の留学先に決めたドイツ南部のフライブルクに帰国した
彼が住んでいたのは偶然の幸運だった。
駅前から市電に乗り込むと、ケラーさんは言いにくそうに切り出した。
「今から向かう家なんだけど・・。実は日本人が住んでいるんだ。」
私が通う予定の語学学校には寮があったが、日本人が多いと聞いていた。
図々しい私は、彼にドイツ人の住むWG(ヴェーゲー)を探す様頼んでいたのだ。
WGとは、ドイツ語のWohngemainschaft(生活共同体)の略で、寮と並んでドイツ学生の一般的な居住形態の
一つである。
マンション型の家族用住居で2、3人の学生が自立して共同生活を営む。
台所や浴室等は共用だが、鍵が掛かる個室を各々自室として使用するのだ。
ドイツのWGでは、元々面識の無い学生同士が共同生活をする事が多い。
大抵は学校の掲示板や新聞広告等でWGを見つけたり、反対に「同居人」を見つけたりする。
男女の学生が一緒に住むWGもあり、もちろん彼らは恋人同士でもなくただの「同居人」なのだ。
同居人同士ウマが合わないとトラブルが発生するリスクがあるが、WGは設備が整った住居に割安な家賃で住め
るし、共同生活なので寂しくない。
私の場合、その上ドイツ人と一緒であれば独語も早く上達するだろう、という魂胆だった。
フライブルクに日本人が多いという噂は本当だ、と実感しながら緑豊かな郊外で市電を降りると、森近くの素
晴しい環境にその4階建ての家はあった。
各階に住居が1戸ずつあり、私のWGは2階で同居人は台湾人と日本人のフライブルク大学生。
二人と挨拶を交わしていると3、4階のWGの学生達も集まって歓迎してくれた。
1995年4月、こうして私の約5年間に渡るドイツ生活がフライブルクで始まった。
しかしこの夜、早くも1階のドイツ人住人とのハプニングが起きるのだ。−−− (連載2へ続く:下)
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第一回、いかがでしたか?私は、次が読みたくてウズウズしてしまいました。ドイツってロマンチック街道と
か観光面では知られていることは多いですが、生活面は意外と知られていないのではないかと思います。
この第一回目も、「ドイツの駅には改札が無い」なんて、ドイツに行った事のない私にはとっても以外で、
驚かされました。ドイツのイメージ的には、きっちりと入り口でも出口でもチェックしそうな感じがしますから、、、。
それでは、次回もお楽しみに!2回目の掲載予定は、3月末です。管理人ソラでした。
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第1章 フライブルク
2. 洗濯機、そして怒るドイツ人
フライブルクで住んだ家の一階にはドイツ人男性の医者が一人で住んでいた。
二階から上の学生達は彼とほとんど交流が無かった様だが、彼は私に強烈な思い出を残した人物である。
フライブルク初日の夜、その家の共同の洗濯機を使う事にした。
ドイツでは全自動のドラム缶式洗濯機が一般的で、今でこそ日本でもお目見えしたが、当時私は横から物を
入れる洗濯機等見るのも使うのも初めてだった。
(こんな感じ↓)
教えられた通りノートに名前を書き、洗濯機の扉を開けて洗濯物を入れ、
洗剤とカルキ除去の錠剤を入れてスタートを押す。
轟音と共に洗濯が始まった。
ドイツの洗濯機にはお湯が給水される為、驚く程きれいになると聞いていた。
私はもの珍しさにしゃがみこみ、洗濯機の中を覗き込んだその瞬間、
目を剥いた。
何と、見覚えの無い真っ赤なパンツが洗濯機の中で回っているではないか。
それも男物!!
カラフルなパンツ達だけではなく、大きな靴下やらシャツが私の洗濯物と混
ざって回っている!
私は事態を飲み込んだ。
前の人の洗濯物がまだ中に入っていたのに、自分の洗濯物を入れて洗濯を始めてしまったのだ。
脱水直後は洗濯物が内側の縁に張り付いており、それに気付かなかったらしい。
私はパニックに陥り、知り合ったばかりの同居人ユミさんの部屋に駆け込んだが、一階のドイツ人
が私達のWGに怒鳴り込んでくるのに数分もかからなかった。
ドイツの洗濯機はやたらと時間を要し、2時間近くも回っている。
やっと終わった洗濯物を取りに行ったら再び洗濯が始まっていて、それも他人の洗濯物と混ざって
いるのを見た彼は怒り心頭で、早口のドイツ語でまくしたてていた。
私はその剣幕に足が震え、一言も発する事ができなかった。
一方で、ドイツではこんなにストレートに他人に怒りをぶつける事が普通なのだろうか、と冷静に考
えたりもしていた。
その場を救ってくれたのはユミさんだ。
「彼女は3日前にドイツに来たばかりで、悪気は無かったんだ。日本の洗濯機は形が違うので良く
確かめずに・・」という事を説明してくれた。
彼は暫く私を睨みつけていたが、最後に「Scheisse!」(くそっ!)という言葉を残して戻って行った。
ユミさんがいなければ彼の誤解を解く事もできなかったし、この幸先の悪いトラブルにかなり落ち
込んだ事だろう。
同居人に日本人がいる有り難さを、早くも味わった一件だった。
洗濯が終わる頃、恐る恐る洗濯機の場所へ行くと彼が待っていた。
考えていったドイツ語で謝ると、「もういいよ」と言ってくれた。
私達は二人して洗濯機の前にしゃがみこみ、絡み合った下着達を解きながらそれぞれ自分の物
を取り出す作業をした。
相手の国の下着事情に各々の感想を持ちながら・・。
以降、使用前に入念に洗濯機の中をチェックする様になったのは言うまでもない。
(次回へ続く)
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第ニ回、いかがでしたか?私は、おかしくて、笑ってしまいました。現在の南さんは、
そんなドジを踏むようには見えないんですけどね。
それに、何があってもビシッと対応できる感じなんです。
それでは、次回もお楽しみに!3回目の掲載予定は、4月末頃です。管理人ソラでした。
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第1章 フライブルク
3. ゴミを減らす努力
ドイツ西南部の黒い森に抱かれた美しい街フライブルクは、「環境首都」とも呼ばれている。
日本からも多くの視察団が訪れる程この街の環境への取り組みは徹底しているが、ドイツは
国としても「環境大国」で、人々の環境への意識がとても高い。
私がそれを実感したのは、新生活の準備の為に初めてスーパーの食品売り場に行った時だった。
野菜や果物はほとんどが量り売りになっていて、ゴミとなるトレーに乗ってパック詰にされて
いる物はごく僅かだ。
水を買おうと手に取るといやに値段が高い。実はビンのデポジット分が含まれていて、空のビ
ンを後で返しにくるとデポジット分が返金される為、リサイクルが促進されている。
ビンのビールや牛乳も同じシステムだった。
極めつけは、買い物の後袋がもらえない。これもゴミを減らす為だ。持参していない場合は袋
を有料で買わなくてはならない。よって人々は折りたたんで鞄に入る布の袋を持参したり、買
った物が入る大きなバックで買い物に来たりする。これに慣れると、袋の為にお金を払うのが
非常にもったいなく感じる様になり、必ず袋を持参するか、忘れた場合は意地でも自分のカバ
ンに入れて帰る様になる。
食料品売り場の他では袋に入れてくれるが、自動的には貰える事は少なく、まずは「袋は要り
ますか?」と確認される。人々は袋をもらわないと持ち運べない様な大きな物を買わない限り、
袋を断り、自分の鞄や持参した袋に買い物した物を入れる。
クリーニングでさえも、こちらから言わないと袋には入れてくれなかった。だから、街の中に
はクリーニングされた洋服をハンガーのままダラ〜ンと持ち歩いている人が結構いる。最初は
違和感があったが、確かにわざわざ袋に入れてもらわなくてもハンガーの部分を持てば運べる。
その内私もダラ〜ンとハンガーで持ち帰る様になった。
とにかく、余分なゴミを出さない様にする意識がすごい。お祭り等での屋台の飲み物にも、使
い捨てのコップ等は滅多に使われない。ちゃんとしたグラスで出され、その飲み物代にもグラ
スのデポジット分が含まれており、グラスを返しに行くと返金される。グラスを返しに行かな
くてはならないので、飲み終えるまでその店からあまり遠くに離れられないし、飲み物を注文
している大きなドイツ人達で混み合っている間から手を伸ばしてグラスを渡して返金してもら
うのを面倒に感じる事もあったが、ドイツ人は環境保護の為ならこの様な少しの手間を惜しま
ない。と言うより、全てが既に当たり前な「習慣」となっていて、手間とも感じないのだろう。
利便性よりも、見た目よりも、環境保護を優先するドイツの生活。
驚く「習慣」もあった。
(次回へ続く)
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第三回、いかがでしたか?「ゴミ」をはじめ、環境に関するテーマ、とっても取り上げて欲しかったんです。
イランは今、プラスチック製品が増える時代になっています。ゴミの分別はなく、すべていっしょくた。
しかも、ポイ捨ても普通の状態。美しい山道や畑までもが、ビニール袋やお菓子のプラスチックの袋でヒラヒラ。
都市部の雨水が流れる溝は、ゴミが溜まり、水が流れなかったり。毎晩9時ごろから朝の4時ごろまで、清
掃車が
走り回り、掃除のおじさんたちの、お掃除するほうきの音が聞こえてきます。娘が学校に行く朝7時、帰途に着く
トラックの荷台に、清掃の制服を着たおじさん達がたくさん乗っているのが見えます。
ドイツは、世界一、環境に気を使う国。どこまでこだわっているのでしょうか。続きが楽しみです。
それでは、次回もお楽しみに!4回目の掲載予定は、6月です。管理人ソラでした。
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第1章 フライブルク
4. シンク一杯の水
フライブルクは南にスイス、西にフランスの国境が近く、その地理的要因からか郷土料理はこの
二国の影響が色濃い。ソーセージやじゃがいもに代表されるドイツ料理だが、フライブルクの料
理は他の地方に比べて少しだけ洗練されているようだった。そんなフライブルクの郷土料理を習
おうと、地元のカルチャーセンターの様な場所に通った。受講料が非常に安く、ドイツ人と交流で
き、その上おいしい料理まで習って食べられるという事で、友人と二人、週に一回夕方から楽し
みに通った。
WGでも学校でもほとんど外国人としか交流の無かったフライブルクの生活で、この料理教室で
はドイツの料理事情について色々な事を学んだ。生徒の半数が男性で(先生も男性)、ドイツで
は男性も当然の様に台所に立つ事、包丁がどれもいやに小さく、その中でも最も小さい包丁でじ
ゃがいも等の皮を剥く事、ニンニクをすりつぶすだけの為に工具の様に頑丈な器具が使われる
事、ドイツ料理にはとんでもなく多量の油やバターが使われている事、等々。
しかし、一番驚いたのは食器の洗い方だろう。
おいしい料理をお腹一杯食べ、いざ後片付けの時間になった。ドイツ人生徒達は、おもむろにシ
ンクに栓をして水を貯め始めた。水が貯まっている間にその中に洗剤をチューと入れて泡立てる。
水が貯まったらその中に汚れた食器を入れる。水の中で食器をスポンジで丁寧に洗う。そこまで
は良かった。しかし、洗ったお皿の水を少し切っただけでそのまま横のトレイに立てかけるではな
いか。もちろん洗剤はついたまま。水洗いをしないのだ!後で洗うのかと思ったが、結局洗剤つ
きのお皿はそのままフキンで拭かれ、食器棚に収められた・・。
その後のドイツ生活でも確認したが、これがドイツでのスタンダードな食器の洗い方だった。つま
り、彼らは普段洗剤付のお皿で食事をしているのだ。もちろん、食洗機が広く普及しているし、ド
イツ人でも水ですすぐ人はいた。しかし、食器を手洗いする場面では、ほとんどの場合この洗い
方がされていたのだ。
結局、水を大切にする考え方がこうさせているのだ。日本の様に蛇口から水を流しながら食器を
洗うのは、水がもったいなくて考えられないと彼らは言う。ドイツのこの洗い方であれば、食器を
洗う為に使う水はシンク一杯の水のみ。確かに、ドイツ料理は一つの大皿で食事がすんでしまうし、
残ったソースもパン等につけて食べてしまうので、それほど水は汚れない。汚れないし、水を大切
にするのは必要だとは分かるが、洗剤は体に悪くないのだろうか・・。
しかしこれが彼らには既に「習慣」なのだ。
私はどうしてもこの「習慣」を真似する事ができず、自分ではシンクに水を貯めて洗剤をチューと
入れて食器を洗う。そして最後に少量の水で水洗いをする。という妥協点に落ち着いたのだった。
(次回へ続く)
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第四回、いかがでしたか? 実はこのお話、「イランではね〜、食器洗いのときに、油汚れがひど
いと、洗濯用洗剤で食器洗いをするのよ〜、漂白剤もみんな大好きで、毎日のように使ってる人
がいるのよ〜!あ〜もう いや!」と愚痴ったときに、南さんが教えてくれました。びっくり!
環境に気を使いながら生活するドイツ人の教育の深さに感服すると同時に、健康的なものはどう
なるのか、心配ですね。「自分の健康より、地球を守ることが第一だ!」と大きく考えているのかし
ら、、、。
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第1章 フライブルク
5.杖をついた人々
フライブルクで暮らし始めて、気付いたことがあった。
街の中に杖をついている人が多い。松葉杖の様な杖を、腕にかませて歩いている。
そしてそれは足が弱った老人だけでなく、幅広い年代の人に見られたのだ。
日本に興味があり、何度か日本を訪ねた事もあるドイツ語
学校の先生にその感想を話したところ、先生は言った。
「日本では足の悪い人や怪我をした人は簡単に外出できな
いので家の中にいるか、車で移動します。ドイツでは足の
悪い人も街中を問題無く動ける設備が整っている為、どん
どん外出できるのです。」
それからそういう目で街の中を見渡してみた。
確かに、駅には必ずエレベーターがついている。ほとんど
のバスや市電の乗り口は低くて地面に近く、あまり足を上
げずに乗ることができる。停留所に車椅子の人が待っていると、運転手が手元のボタン
を押すだけバスや市電の乗り口からスロープが伸びてくる。駅やデパートのエスカレー
ターも、最初に乗り込む際の平らな部分が長く、乗りやすい。歩道も広くて歩きやすく、
自転車が歩道を走る事は法律で禁じられている為、自転車に無理に追い越されて怖い思
いをする事もない。
そして何よりも、街の人々の意識が彼らの行動を支えている。
足の悪い人に限らず、老人、妊婦達が乗ってくれば、電車やバスでは100%に近い割合
で人々は席を譲る。どんなにやんちゃに見える子供でも、どんなにパンクな格好をして
いる人でも、当然の様に席を立つ。駅でエレベーターを見つけられずに階段の下に来た
車椅子の人、ベビーカーを押した人等には、間髪入れずに誰かが声をかける。車椅子に
座った人を、男性二人がかかりで階段を運ぶ光景を、ドイツ滞在中何度見かけたことか。
私でさえも、スーツケースを持って階段を上ろうとしたところ、助けてもらった事が何
度もある。
ベビーカーを押した人がバスから降りようとすれば、周りの人が放っておかない。
段差は少ないのに、素早く誰かが先に降りて、ベビーカーが傾かないように水平に下ろ
す手助けをしてあげる。白い杖を持った人が横断歩道にいれば、自分の腕を差し出し、
一緒に渡ってあげる人がいる。
人々には特別な事をしているという意識は無い。そういうものだ、と思っているようだ。
それは、子供が親を見て学んでいくものなのだろう。
日本でも早く全ての駅にエレベーターがつき、周りの人々が自発的に協力をして、誰も
が公共機関で気軽に外出できる日がくる事を、願わずにはいられない。
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第五回、いかがでしたか? この原稿を読んだ後、しばらく固まってしまいました。
「杖をついていても、安全に、そして見知らぬ人たちに見守られながら、快適に
外出ができる、、、」なんて、、、。イランに生活している私、普通に歩道を歩いて
いても、油断はできません。突然、穴があいていたり、溝が横切っていたり、、、。
健常者でさえも、危険がいっぱいだったりする、、、。この環境の差に、しばし
愕然としておりました。(ソラ)
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第1章 フライブルク
6.曖昧のない国
フライブルクで通っていた語学学校は国の文化機関で、授業や教師の質は高く、
歴史のある学校だった。
質がいいだけに授業料も高い為、距離的に近いヨーロッパの学生が多く、東南
アジアや中国からの留学生は国家機関から派遣された超エリート級の人達ばかり。
そして日本人も私の様な私費留学生の他に、大手メーカーや有名銀行からのエリ
ートサラリーマン達が多く会社から派遣されていた。
どこかから派遣されている留学生は、必ず受かって帰らなくてはならないテスト
の目標を持っていて勉強に励んでいたし、私達私費留学生も、この高い授業料を
無駄にしないようにそれぞれの目標に向かって必死に勉強していた。
そんな学校生活の中で、まだ10代と見られるイタリア系の男の子たち4人組が
目立っていた、というより浮いていた。少しすれた感じで、他の生徒達と明らか
に雰囲気が違った。
聞くと彼らは、スイスのイタリア語圏地方の裕福な家の子供達とのこと。フライ
ブルクはスイスやフランスと国境が接しており距離的に近い為、地元の学校で問
題を起こした様な生徒達が、よくこのフライブルクのドイツ語学校に入学してく
るらしい。お金さえ払えば入学は拒否されない為、ドイツ語のレベルもそう変わ
らないまま何年もここに滞在する生徒が多いらしく、彼ら4人もその種類の生徒
らしかった。
私はクラスが違ったが彼らと同じクラスの子が言うには、パーティには顔を出す
が授業はサボりがち、寮でも夜遅くまで騒いでいるとのことだった。
しかしある日の朝、忽然と彼らは学校から消えた。
その前日の夜遅く、彼らは寮の中庭でスーパーのカート(どこから持ってきたの
か知らないが)を押して遊んでいた。 その騒音に耐えかねた近隣住民が警察に
通報したのだ。
それを知った学校は、即、4人を退学処分にした。
退学になったその日のうちに、4人は寮を出された。
彼らが消えた朝、その話を聞いた時の感想は一言、「厳しい!」というものだった。
この学校だからなのか、それともあの4人だったからなのか、などとも考えてしまった。
騒音が原因で退学とは厳しすぎはないか。それも即日寮も出されてしまうとは。
しかしその後のドイツの生活で、この事件がドイツの物事に対しての態度を象徴
していたのだと気づく事になる。
ドイツでは物事が非常にはっきりと区別される。
人々は物事に対して、例えば「いい事」なのか「悪い事」なのかという決断、そして
それはどうしてか、という理由付けを厳格に行う。
そして「悪い」と判断されれば、それを償う為に徹底的な処置が取られる。
「いい事」と「悪い事」の区別だけに限らず、ドイツでは物事を曖昧にしておく、と
いう事が非常に少ない。
戦後の補償問題などでドイツと日本の態度が比較されるのを見ると、なぜか今でもこ
の事件を思い出し、妙に納得した気分になるのだ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
第六回、いかがでしたか? なぜ「曖昧のない国」なのか、「曖昧だらけの国」に住む
私としては、もっと深く知りたいものです。
(ソラ)
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